海面上昇は地球温暖化が原因!2100年に日本は沈む?
地球温暖化が原因で南極や北極の氷が溶けている映像をみたことありますか?
イギリスの国立海洋学センターによると、2100年に地球の平均気温が2度上昇すると、海面がいまより約90センチ上昇するといわれています。
海面上昇によって消滅する可能性のある国や島の話は遠い世界の話ではなく、東京や大阪、名古屋など日本の都市も浸水や冠水の影響をうける可能性があります。
このまま地球温暖化が進むと、2100年には水没難民として移住する人の数は約3億人。
本記事では、海面上昇による世界的な影響と日本沈没の可能性についてみていきましょう。
海面上昇の原因は地球温暖化
海面上昇の原因は地球温暖化です。
産業革命以降、温室効果ガスの排出量が増え、過去100年で約19センチも海面が上昇しています。
海水の温度があがることで水分が膨張したり、氷河や氷床が溶けたりすることで、海面が上昇しています。
グラフでみる海面上昇の予測
気候変動 に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change、以下IPCC)が出した報告書によると、20世紀後半の気温上昇が著しく、21世紀末には気温が1度から6度上昇し、海水面は約20センチから最大82センチまで上昇すると予測されています。
将来の気温予測と海面上昇の予測を計算するRCPという指標があります。
グラフでは、温暖化を最も抑えた場合と最も進んだ場合でシナリオが報告されています。
世界の海面水位は上昇し続ける傾向となっています。
グリーンランド氷床の全面融解
出典:JAXA
アメリカとカナダの北東に位置するグリーンランド氷床は、南極の次に大きい氷床面積です。
JAXAの報告で、2012年にはグリーンランド氷床の全面融解が確認されており、融解の速度が早まっています。
2021年に観測されたデータをみると、グリーンランド北部の気温上昇により、例年の2倍以上のペースで氷床の融解が進んでいます。
今のペースでグリーンランド氷床の融解が進むと、2100年には約20センチも海面が上昇するという予測もあります。
北極や南極の氷はもともと海水が凍ってできたので、溶けても海面上昇は起きない、と主張する説があります。
しかし、日本の5.7倍の国土を誇るグリーンランドのように、大陸や島を覆う氷床が溶けて海に流れ込めば、質量が増えて海面が上昇することは明らかです。
海面上昇による世界的な影響
海面上昇の影響を最も受けるのは、ツバルやマーシャル、フィジーなど海抜の低い発展途上の島国です。
最も、海面上昇で水没の被害国となり得るツバルは、平均海抜が1.5mしかありません。
農業と漁業に頼る人々にとって、農業用地の浸水やサンゴの白化で収穫できる魚が減ることは、食糧不足をもたらします。
現在、2,000人以上の方がツバルからやむを得ずニュージーランドへ移住をしており、地球温暖化の直接的な原因でない途上国の人々が故郷を捨てざるを得ない状況になっています。
高潮の脅威と水不足
ミャンマーやバングラデシュでサイクロンによる高潮被害が起きていたり、塩水が地下水にはいることで飲み水が手に入らなくなるなど、海抜の低い多くの島国では特に、海面上昇による影響が大きいです。
2018年9月の台風21号で、暴風や高潮の影響をうけた関西国際空港の水害を思い出すと日本人としても他人事ではないですね。
台風が巨大化し頻度が多くなることで、西日本豪雨災害のような降水量増加も著しく、高潮の被害は年々大きくなっています。
各国の対策!コストと技術の壁
海面上昇の影響を受けやすい各国では、
- 畑に海水が入ることを防ぐためにコンクリートを裏打ちした栽培容器を用いる
- 家や道路などインフラ設備を内陸部へ移転させる
- 海岸沿いに堤防や防護壁を設置する
といった対策が考えられています。
しかし、経済力の低い発展途上の島国にとって、「誰が費用を負担するのか」というコストと技術の壁が立ちはだかり、生活する人々にとっては現実的に、移住の選択肢を取るしかない状況です。
海面上昇の危機をプラスに転換する発想で、水上都市の可能性が注目されています。
ナイジェリアの水上コミュニティプロジェクトや食物やエネルギーの自給自足を実現したフローティングシティなど、逆転の発想で水と共生するアイデアです。
観光としては面白いですが、とはいえ自然災害には脆弱なので、海面上昇をおさえて、だれもが海抜の高い土地に住める環境がベストですよね。
海面上昇は嘘?日本が沈む可能性は?
海面上昇はしない、海面上昇は嘘だ、と主張する懐疑論には注意が必要です。
海面上昇の原因である地球温暖化を批判し、寒冷化しているという主張や、人間の経済活動ではなく太陽活動が原因という主張、CO2ではなく水蒸気が原因という主張など、懐疑論がありますが、国立環境研究所などで『地球温暖化懐疑論批判』ではすべて、科学的根拠で否定されています。
地球温暖化を阻止すると都合が悪い石油産業の人たちによる陰謀、という見方もあるので気をつけてくださいね。
日本での影響!2100年に日本沈没?
海面上昇による日本への影響も無視できません。
IPCCの第5次報告書によると、日本近海における海面水温の上昇率は、世界平均の2倍以上です。
日本の海面が30センチ上昇すると半分の砂浜が、1m海面が上昇すると日本全国の砂浜の9割以上が失われると予測されています。
2040年に予測されている40cmの海面上昇が本当に起こると、120メートル分の干潟が消滅し、干潟に生息する生き物や鳥など生態系にも影響があります
2100年のワーストケースとして、海面が1m上昇した場合、日本沈没ほどではありませんが、日本の9割の砂浜が消滅する可能性があります。
海面1m上昇で沈む日本都市
出典:NASA Sea level projection tool
NASAの公開している海面水位の将来予測マップをみると、約100年後に海面が1m以上上昇する地点が確認できます。
東京、大阪、名古屋、福岡、札幌など人口が集中している低地の大都市で浸水被害の危険性が高いです。
特に、大阪では北西部から堺市にかけての海岸エリアや東京4区(江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区)の海岸沿いに水没の大きい影響が懸念されています。
下町で都心部へのアクセスも良いことで人気のスカイツリー周辺エリアが、海面上昇で浸水しないためにも、一人一人ができることをして、地球温暖化を止めていきたいですね。
まとめ
2040年には60センチ、2050年には90センチ、とこのまま気候変動に対して行動しないと、海面上昇に歯止めがかかりません。
パリ協定では温室効果ガスを減らす努力をし、平均気温を2度以下へ抑えようと世界共通の目標が定められています。
自然エネルギー由来の電気に切り替えたり、エアコンの設定温度を適切にしたり、と私たちも日頃からできるアクションがあります。
地球温暖化の速度をおさえて、力をあわせて海面上昇を阻止しましょう。
『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!